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スティーリー・ダン(Steely Dan)は、キーボード奏者&ボーカルのドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)と、ベース奏者ウォルター・ベッカー(Walter Becker)が、多数のミュージシャンを雇って厳選した演奏で曲を作るユニットとして、知られる。
初期のバンド形態は途中で崩壊し、曲はジャズ・フュージョン色を強めていった。
私が一番好きなアルバムは、過渡期の1976年の「幻想の摩天楼(The Royal Scam)」。
だんだんと洗練されつつも、初期の泥臭さを残す。
フェイゲンの癖のあるハスキーボイスともうまく合っていると思う。
収録曲「アルタミラの洞窟の警告(The Caves of Altamira)」がお気に入り。ドラマチックなイントロがいい。
収録曲「滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)」(Kid Charlemagne)は、ギター奏者ラリー・カールトン(Larry Carlton)のソロが聴きどころ。
ギターを主体にしたバンド形態だった初期のダンを思わせる名演だ。
このようにギターソロで聴かせる曲を入れてくるのは、もしかして、初期のサウンドへのオマージュだろうかと想像する。
円熟期の1977年のアルバム「彩(エイジャ)」(Aja)にもそんな曲がある。
♪タッタッターン…とキャッチーなメロディーが癖になる名曲「ペグ(Peg)」。
ギター奏者ジェイ・グレイドンのソロは、まさに初期のダンを思わせる響きだ。
この曲「ペグ」のギターソロは、「滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)」で名演を見せたカールトンも挑んだけども、不採用。
それでも、この曲が気に入ったようで、自作曲「ルーム335」(カールトンの1978年のアルバム「夜の彷徨」に収録)に、♪タッタッターン…という「ペグ」のメロディーを拝借した逸話は、よく知られる。
もうひとつ、「ペグ」にまつわるネタと言えば、サックス奏者デビッド・サンボーン(David Sanborn)がカバーしている。正確に言うと、キーボード奏者マイク・マンデルが1978年のアルバム「スカイ・ミュージック」でカバーし、歌の部分をサンボーンが吹いている。
ダンの音楽の完成形が1980年のアルバム「ガウチョ(Gaucho)」。
一部の隙もなく、洗練の極みという感じだ。
収録曲「タイム・アウト・オブ・マインド(Time Out of Mind)」「バビロン・シスターズ(Babylon Sisters)」は、クールな演奏とコーラス陣の歌声が美しい。
贅沢の極みでもある。
たとえば、「タイム・アウト・オブ・マインド」には、フェイゲンとベッカー以外に、サンボーン、トランペット奏者ランディ・ブレッカー、サックス奏者マイケル・ブレッカーら13人も参加しているのだけども、背景的に使われただけで、もったいない。
ちゃんと存在感を放っているのは、ソロがあるギター奏者マーク・ノップラーくらいだ。
私は、初めて買ったスティーリー・ダンのアルバムが「彩(エイジャ)」、次が「ガウチョ」。
その後、初期に向かって、さかのぼっていく聴き方だった。
だから、1972年のアルバム第1弾「キャント・バイ・ア・スリル(Can't Buy A Thrill)」を聴いた時は、「こんな音楽もやっていたのか」と驚いた。
「彩(エイジャ)」「ガウチョ」とは、だいぶん、趣が違うので。
そして、アルバム「キャント・バイ・ア・スリル」収録のヒット曲「リーリン・イン・ジ・イヤーズ(Reelin' In The Years)」を聴いた時に、「ペグ」や「滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)」は、この初期の音楽を意識したものなのかな、と思ったわけだ。
「リーリン・イン・ジ・イヤーズ」は、昔のロックという趣。キャッチーなメロディーに合わせた早口の歌がいい。
「キングス(Kings)」のように、ピアノ演奏を効果的に組み合わせた曲もいい。
フェイゲンとベッカーは、もともとジャズが好きだという。
ジャズ好みを前面に出した初期の傑作アルバムが1974年の「プレッツェル・ロジック(Pretzel Logic)」。
このアルバム収録のヒット曲「リキの電話番号(Rikki Don't Lose The Number)」は、ジャズピアノ奏者ホレス・シルバー(Horace Silver)の名曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー(Song for My Father)」のイントロを拝借している。
ジャズの楽団リーダー、デューク・エリントンの曲「イースト・セントルイス・トゥードゥル・オー(East St.Louis Toodle-OO)」のカバー、ジャズの巨人チャーリー・パーカー(サックス奏者)に捧げた曲「パーカーズ・バンド(Parker's Band)」もある。
このアルバムで私が一番好きな曲は「ナイト・バイ・ナイト(Night by Night)」。
のちの「アルタミラの洞窟の警告」に通じるフュージョン的サウンドだ。
初期の頃から、のちのサウンドの芽があったのだなと思うと、興味深い。
<私的ベスト3枚>
(1)スティーリー・ダン「幻想の摩天楼」
(2)スティーリー・ダン「ガウチョ」
(3)スティーリー・ダン「彩(エイジャ)」
<おまけリンク>
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