プリンス「パープル・レイン」
Prince「Purple Rain」
私が、個性派の歌手プリンスを知ったのは、友人の勧めがきっかけだった(この友人は中学の同級生。私にとって、ジャズやプログレの師匠。音楽全般に詳しい)。
裏声も、ルックスも、やたら肌をさらすところも、「何だか気持ち悪い歌手」という先入観があり、それまで、ちゃんと聴いたことがなかった。
聴いてみると、悪くない。
というか、聴いているうちに、だんだん、かっこよく思えてくる。
最初に勧めてもらった曲が良かったのかもしれない。
1984年のアルバム「パープル・レイン」のタイトル曲だった。
プリンスがゆったりと歌い上げるバラード。
8分40秒程度と長い曲なのに、歌はほぼ前半だけというのが大胆だ。
2分34〜39秒あたりでシャウトが入り、感極まるところがいい。3分14秒あたりでも。
そして、3分24秒あたりで「ホゥッ!」と甲高い奇声を放つのもいい。
3分40〜45秒あたりで、絞り出すような叫び声を上げて、歌はいったん、終わる。
以降の後半はギターと「フー、フーフーフーフー…」といった声で延々と聴かせ、余韻がものすごい。
あー、終わったかなと思ったところから、まだ2分くらい続く。
このしつこさは、プリンスならでは、だろう。
同じアルバムの収録曲「ビートに抱かれて」は、イントロのギターに続いて、♪ダカタ、タン…ダカタ、タン…というリズムにいきなり惹きつけられる。
♪タッタタタ、タッタッタタ、タッタタタ、タッタッタタ…と繰り返されるシンセサイザーのメロディーも癖になる。
そして、語りかけるようなプリンスの歌い方がいい。
それにしても、原題「When Doves Cry」(=鳩が鳴く時)が、なぜ、「ビートに抱かれて」なのか。
邦訳した人のセンスというか、想像力がものすごいと思う。
<余談:余韻が長い曲>
実は、「パープル・レイン」を初めて聴いた時、真っ先に頭に浮かんだのが、デレク・アンド・ドミノスの名曲「いとしのレイラ」だった。
この曲も余韻がすごい。
イントロが長い曲、たとえば、オランダのDJティエストがトランス・ミュージック路線をひた走っていた頃の曲「エブリシング」「スイート・シングス」とかは、わくわく感が高まり、さんざん、じらされて、歌が始まる時の解放感が変な快感になるのだけども・・・
歌の後の余韻が長い曲も、味わい深い。
ここでは、余韻が長い曲で、私が好きなものを3曲ほど紹介してみる。
(1)デレク・アンド・ドミノス「いとしのレイラ」
デレク・アンド・ドミノスは、ギター奏者エリック・クラプトンらのバンド。
そして、この曲「いとしのレイラ」は、クラプトンが親友の妻(ジョージ・ハリソンの当時の奥様)への恋心を歌う。
7分余りある長い曲だけど、2分20秒くらいまでで、歌は終わる。
3分10秒くらいからピアノ主体の演奏になり、ギターも絡む。
この長い余韻が、親友の奥様に惚れてしまったクラプトンのどうしょうもない、せつない心情をよく表していて、素晴らしい。
(2)ピンクフロイド「コンフォタブリー・ナム」
6分20秒程度ある曲。
歌は、病んだ主人公と医師のやり取りのような内容で、ここも面白い。
ゆったりと波に揺られるような音楽に乗って、やり取りが展開される。
最大の聴きどころは、歌が済んだ後、4分30秒以降のデビッド・ギルモアのギターソロ。
とても、せつない泣きの音色。
ギターが歌っているかのようだ。
(3)ビョーク「ハイパーバラッド」
アイスランドの歌姫ビョークの代表曲のひとつ。5分20秒程度ある。
聴こえるほど大きく息継ぎをするビョークらしい歌がよく味わえるバラード。
サビの繰り返しで盛り上がって歌が終わってから、3分55秒以降は音楽のみ。
宇宙感漂うシンセサイザーの音色がいい。
シンディ・ローパーの「オール・スルー・ザ・ナイト」を思い起こさせるような曲だ。
ちなみに、ビョークはプリンスの大ファンだという。
この曲が「パープル・レイン」の影響を受けたものかどうかはわからないけども、そうだったら、面白い。
(以下の記事「アズ・ア・ジャズ・シンガー」で、「ハイパーバラッド」にも言及)
<おまけリンク>
(以下の記事「タイム・アフター・タイム」で、「オール・スルー・ザ・ナイト」にも言及)
