「いつ載りますか?」は、取材相手によく聞かれる。
事件事故といった発生もの、政治経済の重要な動きなど緊急性の高い記事は、翌日の紙面に載ると、相手も察するので、聞かれない。
聞かれるのは、だいたい、緊急性の低い話題もの、催しもの等の取材の時。
弊社に限らず、同業他社も似たようなものだと思うが、、、
新聞は、紙面の掲載メニューが決まるのは掲載前日。
取材している時点では、メニューが決まっていないことが多い。
「〇日、何々があった」タイプの「日付もの」でも、必ず翌日の紙面に載るとは限らないので、「いつ載りますか?」の問いには、答えられないことが多い。
テレビ各社は、その日のニュースで流すメニューを決めてから、取材に出かけておられるのだろう。
「きょうの夕方のニュースで流れます」などと相手に答えておられる。
取材相手から見れば、「なぜ、新聞は言えないの?」と思われているかもしれない、と思うと、心苦しい。
私は、そもそも、礼儀として、取材相手に記事掲載紙を送る習慣がある(役所や警察など公的機関には送っていない。取材対象になることが多くて、キリがないので)。
だから、「いつ載りますか?」と聞かれたら、「いつ載るか、決まっていないので、お答えできず、すみません。載りましたら、掲載紙をお送りします。郵送ですので、その日には届かないですけども」と答え、送付先を聞く。
「当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます」と似たようなやり方だ。
たいていの方は、後日の掲載紙送付で納得してくださるが、「いつ載るのかを事前に知りたい」という方もおられる。
この場合は極力、対応するように努めるが、実は、これがけっこう面倒だ。
出稿した日に組まれて翌日付の紙面に載ると一番楽だが、いったん、残し原稿になってしまうと、本当にいつ載るのか、わからなくなる。
翌日付の掲載メニューに組み込まれていても、他の記事が飛び込んできたりして、私の記事が外されることもある。
メニューに入っていたのが外されて、その後、またメニューに復帰するという二転三転もある(夜の時間帯に)。
実際、掲載日を事前に知りたいという取材相手に、いったん「あすの紙面に載る予定です」と連絡した後で、「やっぱり、載らないことになりました」「すいません。やっぱり、載ることになりました」と何回も連絡する羽目になったことがある。
完全に紙面が確定するのは、降版(制作した紙面データを印刷工場に送ること)だから、深夜とか未明の時間帯になる(ページによって違う)。
まあ、話題ものや催し物等の記事の掲載可否が深夜とか未明の時間帯になって、変更になることは、まず、ないが、絶対とは言えない。
だから、相手に伝える時は、「今のところ」とか、「たぶん、大丈夫だと思いますが、紙面の都合で、変更になる可能性があるので、もし、そうなったら、すいません」とかいう言葉を添えて伝えるようにしている。
編集局のデスクが作る翌日付の紙面メニューには入っていても、整理部(記事の見出しを付けたり、紙面レイアウトを考えたりする部署)の判断で外されることもよくある。
だから、取材相手に事前に知らせようと思ったら、整理部にまで電話して確認しないといけない。
しかも、整理デスクの返事は「今の時点では載せる予定だけど、最終的にどうなるかは、わからない」という風に、だいたい、中途半端。
私も昔、整理部にいたから、その事情は、よくわかる。
結局、整理部にも何回も電話する羽目になる。
気の利く整理デスクだと、こちらの意図を説明したら「わかった。じゃあ、この記事は必ず、あすの紙面に入れるから」と配慮してくれる。
とても、助かる。
事前に掲載日を知りたいという取材相手の中には、「新聞を買って、関係者に配りたい」という方もおられる。大変、ありがたいことだ。
「関係者に配りたいので、100部ほしい。どうしたらいいか?」と聞かれたこともある。20年くらい前のこと。
10部とかなら、支局に毎日届く「予備紙」で対応できるけども、100部となると、そうはいかない。
販売部に事情を説明して、用意してもらった。
これだけ大量の掲載紙を買いたいと言ってこられたケースは、私は、これまでに、この1回しか経験していない。
ちなみに、私のように、記事掲載紙を取材相手に送る記者は、少数派だと思う。
同僚に聞いたり、同業他社の方の取材時の様子を見たりすると、そう感じる。
掲載紙を送った相手から特に反応はないことが大半だが、まれに、お礼の電話や手紙が来ることもある。
まあ、100人に送って、1人でも、弊紙に親しみを感じてくださる方がおられれば、それでいいと思っている。
ついでに言うと、私は、今後もお世話になる取材相手には、簡単な感想を含めて、お礼のメールを送っている。
ただ、このブログを始めてからは、仕事が終わった後の時間は、ブログに使っているので、お礼メールがなかなか送れなくなった。
この点は、ちょっと、申し訳ないと思っている。
