てっちレビュー

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<記者の仕事あれこれ>展覧会や演奏会の記事は一種のレビュー 記者のセンスが問われる 新聞は音が出ないので、音楽の演奏会の記事は難しい

 

ささいな地域イベントでも、展覧会や演奏会の記事は一種のレビューだと思う。

作者や演奏者にドラマがあり、そこに焦点を当てて書くケースもあるが、ここでは、作品や演奏内容を中心に書くケースについて、考えてみる。

 

記事は、取捨選択とメリハリが基本なので、展覧会なら自分が見て面白いと感じた作品1〜2点、演奏会なら自分が聴いて面白いと感じた曲目1〜2曲に絞ってどう面白いのかを書く。

これで、読んだ人が具体的にイメージしやすくなる。

ある意味、記者のセンスが問われるわけだ。

 

美術作品の展覧会の場合、どんな作品かは写真である程度、伝えられるけども、音楽の演奏会は、少し難しい。

言うまでもなく、新聞は音が出ないからだ。

どんな演奏なのか、文章だけで表すことになる。

 

たとえば、インドネシアの伝統音楽ガムランとか、ケルト音楽のように珍しい音楽の場合は、使われている楽器などの説明をしたら、ある程度、格好が付く。

 

ハンガリーの打弦楽器ツィンバロンとか、ノルウェーの擦弦楽器ハーディングフェーレ(ハルダンゲル・フィドル)のように、珍しい楽器の演奏会の場合も同様だ。楽器の見た目の特徴のほか、ツィンバロンは「ピアノと琴の中間みたいな音色」とか書く。

(ちなみに、デッド・カン・ダンスのリサ・ジェラルドは、神がかり的な歌のほか、ツィンバロンみたいな打弦楽器「揚琴」の演奏も見せる)

 


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むしろ、このように、珍しい音楽、珍しい楽器の演奏会のほうが、演奏内容にはあまり踏み込まなくても、記事の格好が付くので、書きやすい。

 

地域の合唱団が童謡を歌うとか、高校の吹奏楽部がジャズを演奏するとかのほうが、書くのが難しい。

なじみ深い曲のアレンジの工夫とか、私のような素人が見てわかるテクニック的なことを書いたりする。

 

たとえば、ある高校の弦楽部の演奏会。

♪パパパパーン、パパパパーン…という冒頭のトランペットでおなじみのメンデルスゾーン「結婚行進曲」を、弦楽器だけで演奏していて面白かったので、そのことを書いた。

 


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あと、珍しい技法ではないのかもしれないけど、バイオリンの弦を指で弾く奏法を交える曲目があった。

普段クラシックを聴かない私には「こんな技法もあるのか」と新鮮に感じられたので、そのことも書いた。

 

本当にすごい演奏は、私のような素人が聴いても、すごいと感じられるので、割と自然に書ける。

地域のオーケストラがプロのピアノ奏者と共演した演奏会では、難曲だという、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」が良かった。

「〇〇さん(このピアノ奏者)は力強い演奏を披露した。静かな第2楽章、勇ましい第3楽章とも低音から高音への流れるような速弾きが聴きどころだった」という風に書いた。

 


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本当にすごいものは、割と自然に書けるというのは美術作品の展覧会でも、そうだ。

 

ちょっと、話がそれるが・・・

第2次世界大戦中、戦意高揚のために戦争画を描かされた画家は少なくない。

たとえば、独特の乳白色の裸婦画で知られる藤田嗣治(レオナール・フジタ)。

戦争画を描いたことが戦後、批判されて失意のうちに日本を去ることになった。

私は、藤田の戦争画「アッツ島玉砕」を見たことがある。

戦意高揚というより、むしろ、戦争の凄まじさや悲惨さを感じさせる良い絵だと思ったけども。

 

 

作家名や作品名は伏せるけども、私がもっと面白いと思ったのは、別の画家の戦争画。

疲れた様子で敵を追う大勢の兵士の姿が描いてあるのだけども、大半が後ろ姿で顔が見えない構図で描いた工夫が素晴らしい。

おそらく、当時、この絵を見た人たちは、後ろ姿の兵士に、身内の姿を重ねたのではないかと想像する。

戦意高揚という感じではなく、兵士のつらさを表した良い絵だと思う(本人は戦争画を描いて戦争に加担したことに、ずっと、心を痛めていたらしい)。

 

戦中の世相では、明確に「戦争反対」みたいなメッセージを打ち出す絵は描けなかったと思う。

藤田にしろ、この画家にしろ、そんな中で、でも、「戦争万歳」みたいな作品は描きたくないと思っていたのだろうと想像する。

そのせめぎ合いの中で、見る人に自分の思いが伝わってほしいと気迫をこめた絵だから、惹きつけられるのだと思う。

 

展覧会や演奏会の記事を書くと、美術や音楽のセンスがある記者なら、もっと良い記事を書くのだろうなと、いつも思う。

そこで物おじせず、自分の感じたことを素直に書くということが大事かなとも思う。

あと、美術や音楽をほかの人と一緒に鑑賞して、感想を聞くこと。自分にない着眼点や感じ方が参考になる。

 

<余談>

親バカの子自慢の話になるけども、後ろ姿の絵と言えば、私の長女も描いていた。

長女は幼い頃から絵を描くのが好き。

高校生の頃には、県の高校美術展で1位になって全国高校総合文化祭に出品されたり、県の高校総体のポスターに作品が採用されたりしていた。

この高校総体のポスターの絵は弓道、水泳、バドミントン、剣道の選手が競技する姿が、こちらに背中を向けた構図で描いてある。

後ろ姿というのが面白いねと言ったら、長女は「背中で語るんだよ」と言っていた。

控えめで無口な長女らしい発想の作品だと思った。

ちなみに、全国高校総合文化祭に出品された絵は、学校の授業風景を天地逆さまに描いてある。

画面の上に逆さまで授業を受ける生徒、画面の下に天井で寝転んだり、遊んだりしている生徒が描いてある。

私は、これを見て、漫画「ウイングマン」(桂正和)のポドリアルスペース(天地が逆さまになる)を思い出した。

 

 

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