(上記のAmazon商品は本文と直接関係ありません)
今春の退職者の中に、私と同じ50代の管理職が複数人おり、ついに弊社も末期的な状態に陥ってきたかと思った。
これまでのように、若手や中堅が辞めるのとは、わけが違う。
同業他社では既に管理職がぽろぽろ辞める時代になっていると聞いていたので、「ついに弊社も」と思ったわけだ。
順を追って説明してみる。
弊社では、10年くらい前から、新入社員を募集しても、なかなか応募がなく、入社してもすぐ辞めてしまうという状況が目立つようになった。
このため、お金で呼び込み、足止めを図ろうと何度も初任給を引き上げてきた。
初任給を引き上げるための原資は、管理職世代(主に40代後半〜50代前半)の賃金を圧迫して、生み出されている。
そして、若手をちゃんと休ませ、残業をさせないよう、管理職に圧力がかかり、結果として、残業代が付かず、代休も取れない管理職の負担が増すという状態になっている。
それでも、若手の退職に歯止めがかからない。
弊社の若手は、業務や処遇が不満で辞めるのだけども・・・
同業他社の方に聞くと、最初からキャリアアップのための腰掛けで入ってきて、すぐ辞める若手が近年は目立つという。
ほんの数年でも、マスコミ勤務の経歴が転職でセールスポイントになるのだそうだ。
マスコミの仕事柄、積極的で対人関係スキルが高いとでもみられるのだろうか。
弊社でも、いずれ、そのような時代が来るのかもしれない。
管理職へのしわ寄せは、プレイングマネージャーというか、出先で記者兼管理職というポジションができるに至った。
私もその1人。
私の仕事の90%以上が記者業務だけど、管理職でもあるから、外勤手当は付かないし、残業代も付かない。
たとえば、先の衆院選の投開票日、私は翌日午前4時頃まで仕事をしたけど、残業代どころか、深夜割り増しも付かない(この時は、翌日午前7時に起きて取材に行かないといけなかったので、家に帰る時間がもったいなくて、支局のソファで寝た)。
いかに管理職といえども、深夜割り増しを払わないのは違法行為だ。
弊社の場合、本人が申請していないと言い逃れるのだと思う。
実際、私は申請しなくなって久しい。
申請すると、上の方からパワハラ電話が頻繁にかかってきて、仕事の邪魔だからだ。
無視して申請したこともあったけど、総務部門の管理職(後輩)が、上の意向を慮って、申請を却下するため、抵抗の余地がない。
私など、まだ、ましなほうだ。
全社的に見て、一番負担が大きいのは、編集部門のデスク(記者が書いた原稿を手直ししたり、取材の指示をしたりする役目の管理職)。
毎日、朝から深夜まで働き、休みも取っていない。
何より、内勤で上の方の目が届くから、息を抜く間もなく、部下からも突き上げられ、絶えず、ストレスにさらされている。
私も以前、デスクをしていたから、わかる。
私がデスクをしていた頃より現在は、さらに状況が悪化している。
上の方の自己満足としか思えない会議や書類作成が増え、本来の業務を圧迫している。
デスクに相談したいことがあって電話しても会議中ということが珍しくない。
デスクと記者のコミュニケーションが減り、原稿のチェックが粗くなった(現在のデスクの業務量を考えたら、仕方ない)。
記者は不満がたまり、やる気をなくすという悪循環になっている。
デスクは表向き、休日消化していることになっているけども、実際には休んでいない。
休み扱いで在宅勤務も珍しくない。
私がデスクだった頃も、休めない状況は同じだけど、さすがに「休み扱いで在宅勤務」という、奴隷のような働き方までは、強いられていなかった。
現在のデスクの休み扱いで在宅勤務は、本人が勝手にやっていることにされているけど、実質的には強制。
監督官庁対策で、休みを取らせているように見せかけるため。
私は社内で一番休日取得が少なくて、上の方々に目を付けられているらしく、「おまえは管理職だぞ」と、忖度を促すパワハラ電話がよくかかってきていたけど、無視してタイムカードを押していたら、こいつは忖度がわからない馬鹿だと呆れられたのか、あまり電話がこなくなった。
デスクをしている後輩に「なんで、そんな馬鹿なことしてるの?」と聞くと、「会社に出なくて済むだけでも気が楽です」と言って、黙々と働いている。
在宅勤務(休み扱い)に安らぎを感じるくらい、感覚が麻痺しているようだ。
本当にかわいそうだ。
若手の次は、中堅が辞めるようになった。
管理職の姿を見て、「あんな風になりたくない」と将来を悲観するようだ。
管理職を継ぐべき中堅が減ってきたから、今、管理職をしている世代を徹底的にこき使おうということになり、弊社では近年、「役職定年」制度が廃止された。
役職定年とは何か。
弊社の場合だと、60歳で定年となる前に55歳で役職定年という仕組みがあった(その年齢に達した直後の3月か、9月が節目)。
役職定年を迎えると、管理職からは解放されて職責が軽くなり、残業代も付くようになる。その代わり、給料が7割に減る(3割カットされる)。
過去に役職定年を迎えた先輩方を見ていると、給料は大幅に減るけども、フリーライターのように伸び伸びと働いておられた。
私は、うらやましく思っていたものだ。
(ちなみに、定年を過ぎても希望に応じて再雇用がある。給料はまた7割に減る。つまり、55歳までと比べると、給料は0.7×0.7で、およそ半分になる)。
役職定年が廃止されて「給料7割」もなくなるのなら、まだ、話がわかる。
ところが、役職定年が廃止されたにもかかわらず、給料が7割に減る仕組みは残った。
いきなり7割ではなく、段階的になったけど、7割に減ることには変わりない。
つまり、引き続き、管理職として重い職責を負わされ、残業代も付かないままなのに、給料は減る。
これは、恐ろしい制度改変だ。
退職金の制度も改変された。
旧来の制度だと、役職定年を過ぎると、退職金に「特別慰労金」が加算される仕組みだった。
この特別慰労金が、定年を過ぎないと加算されない仕組みに変わったのだ。
つまり、「特別慰労金がほしかったら、給料7割で管理職を務めながら、定年まで働けよ」というのが弊社の上層部のメッセージ。
退職金の計算方法も変わった。
細かい計算を省いて要約すると・・・
旧制度では、おおむね勤続年数に比例して退職金が増える仕組みだった。
新制度では、勤続24年までは、勤続年数につれて加速度的に退職金が増える。
勤続25年以降は、減速していく(増え方が緩やかになる。つまり、勤続24年で辞めた人と、25年以降で辞めた人の退職金の差が少なくなる)。
まるで、「管理職世代いじめ」とも思える仕打ち。
弊社の上の方々の思惑は、社長の言葉にストレートに表れている。
私は近年、勤続30年を超え、対象者のみなさんと、永年勤続表彰式に出たのだけども、社長の訓示に呆れた。
「君たちは、辞めたくても、辞められないのかもしれないが」と言ったからだ。
おかしくて、笑いをこらえるのに苦労した。
たしかに、私のような団塊ジュニア世代は、人数が多いから、学校では、棒で叩かれたりして、家畜のように扱われて育ってきた。
青春時代にバブル経済の妙な熱気にさらされ「24時間戦えますか」とドリンク剤のテレビCMに煽られ、「働くとはそういうことか」と何となく思ってきた。
同世代の同僚を見る限り、心身ともに頑強な人間が多いと思う。
そして、まだ、お子さんの養育費、住宅ローン等を抱えて、あまり身軽な状態でない人が多い。
(私は、結婚やマイホーム購入が早かったので、一人娘はもう社会人だし、住宅ローンは最近、完済した)。
だから、「君たちは、辞めたくても、辞められないのかもしれないが」は、事実だとは思うけども・・・
社長が、従業員の永年勤続表彰式で言うことだろうか?
普通は「ご苦労さん」とか言わないか?そう思っていなくても、礼儀として。
「こいつらは、いくら冷遇しても辞めない」と考えていることが、よくわかった。
そして、それを口に出すほど、増長していることも。
もろもろのしわ寄せを受けてきた管理職世代が退職し始めたことは、堤防が決壊し始めたようなものだ。
この意味を上層部がわかっているのだろうか。
弊社の上の方と付き合いがある同業他社の上の方に最近、聞いたところでは、弊社の上の方は、相変わらず「新入社員を募集してもなかなか応募がない」「若手がすぐ辞める」ということにしか、関心がない様子だったという。
辞めていない管理職世代がまだ大勢いるから、ここを酷使すればいいと思っているのかもしれない。
