(上記のAmazon商品は本文と直接関係ありません)
このブログの「読書」「音楽」「映画」カテゴリーのレビュー記事は、私なりに表現や構成を工夫して書いている。
「わかりやすく」「伝わるように」という新聞記者の姿勢に基づいているので、「記者の文章術・ブログ編」と銘打って、いくつか、紹介していきたい。
今回は、音楽レビューの「擬音の駆使」について───
このブログの「音楽」カテゴリーのレビュー記事では、擬音をよく使っている。
歌がなくて、楽器が主体の音楽の場合は特にそうだ。
たとえば、サックス奏者デビッド・サンボーンの曲「エニシング・ユー・ウォント」の始まりから35秒あたりまでの説明を抜粋してみる。
(以下、記事「ハイダウェイ」から抜粋)
♪ズンダッタカタカ、ズンダッタカタカ…というリズムに乗って、♪プァッ、、、プァラプァッ…パラパパパ…と、じわじわ吹き始める。
この後、短いフレーズを重ねながら、盛り上がっていくところが特に好きだ。
♪パパパーッ!
♪パパッパァラーパッ!
♪プァラッパー!
♪パラパ、パーラ、パーラッ!
♪プァラ、プァラーパー、プァラパー、パラ、パラパラッパー!
、、、という風に。
(以上、抜粋)
じわじわと情感を高めて、泣きのサックスに至る吹き方はサンボーンの真骨頂。
「サンボーン節」と言われる演奏だ。
その特徴に着目して、リアルに表現したつもりだけど、どうだろうか。
もちろん、この曲を知らない方にとっては、この説明を読んだだけでは、頭の中にこの曲は流れないと思うけど、曲の雰囲気や構成が、何となく、イメージしてもらえるのではないだろうか。
この説明を読んでから、リンク先の動画で実際に曲を聴いてもらうと、この説明を読んでいない状態で聴くよりも、くっきりと曲が頭に入ってくるはずだ。
そして、この曲をご存じの方には、曲を脳内再生しながら「そうそう。そんな感じだよな」と親しみを感じてもらえるのではないだろうか。
擬音は、幼稚な表現と思われるかもしれないけど、生き生きと具体的なイメージを伝え、ライブ感あふれる表現だと思う。
短くまとめないといけない新聞記事では、めったに使わないけど、ブログでは、心置きなく使えて面白い。
そもそも、私がブログの音楽レビューの記事で擬音を使うのは、なぜなのか。
ひとつには、普段の会話でよく使う、使い慣れた表現だから。
これは一種の方言と言えるかもしれない。
私の故郷・鳥取市では、会話に擬音・擬態語が入ることが珍しくない。
たとえば、道を尋ねられた時に「そこをドーンと(まっすぐ)行って、右にパカッと曲がったところ」と答えるとか。
そして、私の父がよく擬音・擬態語を使う人だった。
擬音・擬態語にとどまらず、セルフ効果音も使う。
立ち上がる時に「スクッ」、歩き出す時に「スタッ、スタッ」とか。
物を手で受け止める時に「パシッ」とか。
父は独身の頃、大阪で働いていたから、大阪暮らしの影響があるのかもしれない(私の中では、大阪というか、関西では擬音・擬態語をよく使うというイメージがある)。
さすがに鳥取市民でも、セルフ効果音を使う人は、ほかに見たことがない。
父も、家庭で使っていたくらいで、外で他人と接する時には控えていたのだろうと思う。
私が子どもの頃、学校で「パシッ」とか、セルフ効果音を無意識に使っていたら、周りにからかわれるくらい珍しがられた。
もうひとつには、音楽の難しい専門用語をなるべく避けたいという考えから。
これは、実際に読み比べてもらったほうがいいだろう。
先ほど例示したサンボーンの「エニシング・ユー・ウォント」の説明を、Google Geminiに「擬音を使わずに音楽の専門用語を使って書き直してみてほしい」と頼んで、出てきたのが、以下のもの。
(以下、Google Geminiによる専門用語版)
16ビートの推進力あるリフ(軽快なシンコペーションを刻むリズムセクション)に乗せて、アルトサックスがタメを効かせた短いモチーフ(断片的なフレーズ)を提示しながら、徐々にビルドアップしていく。この初期衝動を煽るようなクレッシェンドの展開と、フレーズを積み重ねていくコール・アンド・レスポンスのような構成は、本作における最大の聴きどころである。
(以上)
私が書いた擬音駆使版と読み比べて、みなさん、どんな印象を持たれるだろうか。
専門用語版のほうが魅力的で、擬音駆使版は幼稚だと感じる方もいるだろう。
私は、擬音駆使版のほうが好き。
専門用語版は、具体的なイメージが何もわき上がってこない。
専門用語版と擬音駆使版、どちらが魅力的かは、読む方の好みの問題。
頭で味わうか、心で味わうか。
音楽は好みで楽しむものだから、そこは自由だと思う。
人間くさくて、熱量を感じさせるのは、絶対に、擬音駆使版。
人工知能(AI)には、専門用語版は作れても、擬音駆使版は作れないと思う。
言ってみれば、擬音は「人間の証明」。
そして、おそらく、専門用語を駆使して書いたレビューは世の中にたくさんあっても、擬音を駆使して書いたレビューはあまりない。
つまり、このブログの個性になると考えている。
(残念ながら、Google等の検索エンジンが擬音の価値を理解できないから、検索結果で上位表示させるのには役に立たない。想像力がある人間相手にしか通用しない工夫)。
擬音が幼稚感と隣り合わせなのは、否めないから・・・
アーティストや楽曲の分析、考察の部分はカッチリと仕上げ、硬軟のメリハリを付けて、書いていきたい。
<おまけ:「ソング・フォー・マイ・ファーザー」の擬音版と専門用語版>
このブログでは、たとえば、ピアノ奏者ホレス・シルバーの名曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」でも、シルバーとサックス奏者ジョー・ヘンダーソンの躍動的な熱演を、擬音を駆使して解説した。
これについても、Google Geminiに、擬音を使わずに音楽の専門用語を使って書き直した専門用語版を作ってもらった。
読み比べてみてほしい。
(以下、てっちレビューの記事「ソング・フォー・マイ・ファーザー」より、タイトル曲の解説部分を抜粋)
タイトル曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」は、シルバーとヘンダーソンのソロで聴かせる。
10秒ほどの短いフレーズだけど、シルバーの持ち味が凝縮された屈指の名演がある。
ヘンダーソンのソロは中盤以降が圧巻。シルバーに呼応して、生き生きと躍動する。
この曲は、♪タタン、タタン、タタン、タタン…というピアノのフレーズの繰り返しで始まり、トランペットとサックスが、♪パッパッパ、パーパラパッパ、パーパラパッパ、パパパパー、パーパー…とテーマのメロディーを奏でる。
ここまでは、嵐の前の静けさというか、まあ、準備体操みたいな感じ。
1分40秒あたりでシルバーのソロが始まってからが聴きどころだ。
1分55秒あたりからの軽やかにじゃれるような演奏がとても味わい深い。
♪タタタ、タランタランタランタランタランタラン、タンタタン…と。
シルバー屈指の名演だと思う。
ここだけ、繰り返して聴きたくなる。
続いて、3分55秒あたりから、ヘンダーソンのソロ。これは、歌うようなというか、情感たっぷりだ。
4分10秒あたりから、♪パラパーパラ、パーパラ、パーパラパ…ときて、その後、だんだんと高まっていく。
4分35秒あたりから、♪パラパパラ、パラーーーッ!!と雄叫びを上げ、これを合図に躍動的な演奏を次々と見せる。
♪パパラパララパパラパパラ…とか。
♪パララッ、パララッ、パララッ…とか。
♪パパラパラッ、パパラパラッ…とか。
最後は、テーマの合奏で落ち着いてフィニッシュ。
(以上、抜粋)
(以下、Google Geminiによる専門用語版)
タイトル曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」は、ホレス・シルバー(ピアノ)とジョー・ヘンダーソン(テナーサックス)の卓越したソロ・ワークが光る、ハード・バップ/ファンキー・ジャズの金字塔である。特にシルバーが披露する10秒ほどの短いフレーズには、彼の音楽的アイデンティティが凝縮されており、ジャズ史に残る屈指の名演と言える。また、中盤以降に展開されるヘンダーソンのソロも圧巻であり、シルバーのバッキング(伴奏)と呼応しながらダイナミックに躍動していく。
楽曲は、ボサノヴァ調のリズムをベースにした、ピアノによる特徴的なベースライン(リフレイン)の反復で幕を開ける。そこへ、トランペットとサックスの2管フロントが、抑制されたクールなユニゾン(あるいはハーモニー)でメイン・テーマを提示する。この導入部は、後に続くソロ・パートの熱量を際立たせるための、いわば静妙なプロローグとして機能している。
1分40秒付近から始まるシルバーのソロこそが、本作最大の聴きどころである。特に1分55秒あたりから展開される、軽妙でトリッキーなパッセージ(フレーズ)は極めて味わい深い。右手による3連符や装飾音(トリル)を交えた流麗なランニング・フレーズは、シルバー屈指の名演であり、何度でも繰り返し聴きたくなる中毒性を秘めている。
続いて3分55秒付近からは、ジョー・ヘンダーソンのテナーサックス・ソロへと移行する。序盤は旋律的で叙情性豊かな(歌心あふれる)アプローチを見せるが、4分10秒あたりから流れるようなスケール(音階)を駆け上がり、徐々にアドリブのテンションを引き上げていく。
4分35秒付近で、高音域でのエモーショナルなロングトーン(あるいはフラジオレット)を炸裂させ、これを合図にソロは最高潮(クライマックス)へ。ここからヘンダーソンは、シーケンス(同一モチーフの反復移高)や、ジャズ特有のシンコペーションを多用したアグレッシブなフレーズを次々と繰り出し、圧倒的な推進力を生み出していく。
熱狂のソロ・パートが明けると、再びフロントによる静謐なメイン・テーマ(再現部)へと回帰し、アンサンブルが一体となった安定感のあるエンディングで楽曲を締めくくる。
(以上)
