アルトゥーロ・サンドヴァル「チュニジアの夜」
Arturo Sandoval 「A Night In Tunisia」
キューバ出身のトランペット奏者アルトゥーロ・サンドヴァルは高音、高速の演奏が持ち味で超音波のような音を出す。
しかも、ジャズからラテン、クラシックまでこなす器用さを持ち合わせる。
さまざまなアレンジでジャズの定番曲「チュニジアの夜」を演奏しており、聴き比べると、楽しい。
この曲は、サンドヴァルが敬愛するトランペットの巨匠ディジー・ガレスピーの作品。ドラム奏者アート・ブレイキーの野性的でアップテンポな演奏が有名だろうか。
サンドヴァルは、キューバで活躍していた頃からガレスピーに可愛がられ、確か、米国に亡命する時も支援してもらっている。
サンドヴァルの1987年のアルバム「トゥンバイト」での演奏は、ラテン・フュージョンと言おうか。
ラテンパーカッション連打で始まり、キーボードのソロはフュージョン感を醸し出す。
聴きどころは、♪パーパラパーパラ、パララパ、パーパラパーパラ、パララパ…というフレーズの後のサンドヴァルの演奏。
超音波というか、笛付きのやかんが沸騰する音というか、草笛のようなというか。
不思議な音色。終盤のへろへろな吹き方も印象深い。
2012年のアルバム「ディア・ディズ」では、落ち着いたラテン・ジャズに仕立てた。サンドヴァルの演奏は中盤以降が聴きどころだ。
キューバを訪れたガレスピーの1985年のライブ盤「ライブ・アット・ザ・ジャズ・プラザ・フェスティバル‘85」にゲスト参加。
ここでは、粋なジャズの「チュニジアの夜」を演じる。
このライブ演奏は、イントロがクラシック曲「ボレロ」という遊び心からして、わくわく感をそそる。
ガレスピーに続いてサンドヴァルが吹き、高音を放つ。
残り4分くらいのところで、いったん静かになり、終わったかと思わせて、サンドヴァルのパフォーマンスが続く。
最後の1分くらいの高音演奏がいい。
<CD購入メモ>
「ディア・ディズ」は、サンドヴァルがガレスピーをしのぶアルバム(ちなみに、トランペット奏者クリフォード・ブラウンをしのぶアルバム「アイ・リメンバー・クリフォード」もある。私は、あまり好みではなかった)。私は、Amazonで買ったが、現在(2025年3月1日時点)、品切れのようで、商品を紹介できない。そんなに珍しい品ではないので、しばらくしたら、また出品されると思う。
ガレスピーのライブ盤「ライブ・アット・ザ・ジャズ・プラザ・フェスティバル‘85」(2枚組)は名盤。ガレスピーが、サンドヴァルのほか、別の曲でキューバ出身のピアノ奏者ゴンサロ・ルバルカバと共演している。入手に苦労した。
Amazonで海外の業者に注文したが、途中で行方不明になったのか、届かなかった(返金してもらった)。その後、しばらくして別の海外業者が安く出しているのを見つけ、ようやく手に入れた。新品で、送料を含め3000円くらいだった。商品紹介を一応、掲載しておくが、私が買った業者は現在、出品していないし、中古で5700円~と高いので、買うならタイミングを見計らったほうがいい。