ジャコ・パストリアス「ライブ・イン・イタリア」
Jaco Pastorius 「Live In Italy」
大学時代、ジャズ好きな親友の勧めで、ウェザーリポートを知り、アルバム「ヘヴィ・ウェザー」(1977年)の収録曲「バードランド」「ティーンタウン」に感動した。
とりわけ、ベース奏者ジャコ・パストリアスに、はまった。
この頃は、とにかく「ティーンタウン」が大好きだったので、「ティーンタウン」ばっかり、アホほど聴いた。
1986年のライブ演奏を収めた「ライブ・イン・イタリア」の「ティーンタウン」は、「ヘヴィ・ウェザー」収録のオリジナルと同じくらい好きだ。
ロック風のロングバージョンと言える演奏で、新進気鋭のギター奏者ビレリ・ラグレーンがジャコに絡む。これがスリリングで、かっこいい。
「インプロビゼーションNo.1/ティーンタウン」と題した14分近い演奏は、ビレリの即興演奏で始まる。
1分50秒あたりから、ディープパープルの名曲「スモーク・オン・ザ・ウオーター」の♪ジャッジャッジャー、ジャッジャッジャジャー、ジャッジャッジャー、ジャージャー…というリフを2回。
そして、♪チャラララー、チャラチャラチャラーというフレーズが奏でられ、「ティーンタウン」に突入。ここで、ちょっと、じらして、2分35秒あたりで、ジャコが登場。ビレリと絡みながら、「ティーンタウン」を奏でていく。
中盤の聴きどころは、4分50秒あたりから。
♪ボッボッボ、ボボボボボッボ…とベースの野太さを誇示しつつ、5分過ぎから、ビレリと合奏。
5分20秒あたりから、速さを増し、♪タラッタ、タータラタラッタ…と流れるような演奏になる。
9分あたりから9分50秒あたりの即興演奏もいい。
いったん、クールダウンし、最終コーナーを回る。
10分あたりからジャコのソロ。ドラムが引き立てる。
11分20秒あたりから、ジャコがさらに乗ってくる。♪タラッタ、トゥルトゥル、タラッタ、トゥルトゥル…の繰り返しが速さを増す。
11分40秒あたりから、ビレリが参入。ここから最後までが最大の聴きどころ。
12分40秒あたりから、♪タンラララン、タララン、タララン…が速さを増す。
13分10秒あたりで緊迫感MAXに到達。♪タッタラン、タランタランタランタランタランタラン…と繰り返し、チャラララー、チャッチャッチャラッ!と締めくくる。
「ライブ・イン・イタリア」には「コンティニューム」や「ブラックマーケット」も入っている。
これらもまずまずの好演。
ただ、ジャコのソロ第1作「ジャコ・パストリアスの肖像」(1976年)収録の「コンティニューム」原曲や、ウェザーリポートのライブ盤「8:30」(1979年)収録の「ブラックマーケット」ほどではない。
「ライブ・イン・イタリア」は、「インプロビゼーションNo.1/ティーンタウン」を聴くための1枚と言っても過言ではない。
この1曲だけで、十分すぎるほどに価値がある。
<各種「ティーンタウン」>
「ティーンタウン」について、もう少し語ってみる。
「ヘヴィ・ウェザー」収録のオリジナルは、ジャコの躍動的な演奏はもちろん、サックス奏者ウェイン・ショーターの絶妙な合いの手が聴きどころ。
「8:30」収録の演奏もなかなかいい。
オリジナルよりキーボード奏者ジョー・ザビヌルとショーターの出番が増している。
もちろん、「合いの手ショーター」も健在。
即興アレンジの「ティーンタウン」とも言える「シュトゥットガルト・アリア2」は、なかなか面白い。先日の記事で書いた通りだ。
ジャコとビレリ連名の1986年のアルバム「シュトゥットガルト・アリア」に収録。
ジャコとビレリの1986年のライブ演奏を収めた「ヘヴィ・アンド・ジャズ」にも「ティーンタウン」はある。
「メドレー パープル・ヘイズ〜サード・ストーン・フロム・ザ・サン〜ティーンタウン」と題して、メドレー形式で演奏している。
残念ながら、ここでのジャコは精彩を欠く。指がもつれているようなところもある。
ライブ盤「ヘヴィ・アンド・ジャズ」は、ビレリの演奏が冴えている。またの機会に紹介したい。
カバーでは、、、
マーカス・ミラーの演奏は、割と素直なカバー。マーカスらしい音色が楽しめる。
スティール・パンのトロピカルな音色もいい。
終盤のギターソロが興味深い。スティーリー・ダンの曲「ジョジー」みたいなフレーズを交えている。
イアン・オブライエンの演奏が面白い。
完全にエレクトロニカにアレンジし、妖しい雰囲気を醸し出している。
これは、おすすめ。


