「土星の衛星タイタンに生命体がいる!」関根康人
期待以上に面白かった。
太陽系の惑星、衛星の探査結果から、宇宙にはさまざまなタイプの海惑星が存在しうることをひもとく内容。
地球は太陽からの距離がちょうどよくて、液体の水が維持できた。
金星は近すぎて灼熱の星になり、火星は遠すぎて凍りついた星になった(それ以外の要因もあり、そのことも解説してある)。
ここまでは、よく知られた話。
本書では、太陽光エネルギーで液体が存在する「太陽加熱型ハビタブルゾーン」のほか、潮汐力による摩擦エネルギーで液体が存在する「潮汐加熱型ハビタブルゾーン」もあるという話が展開される。
具体例が木星の衛星エウロパ。
木星との距離がほどよく、潮汐力で液体の水が存在する。
同じ木星の衛星でも、イオは近すぎてマグマ状態になり、ガニメデやカリストは遠すぎて温まらなかった。
土星の衛星では、エンケラドスが潮汐加熱型ハビタブルゾーンに位置し、液体の水が存在する。
宇宙全体でみると、太陽加熱型より、潮汐加熱型で液体が維持される天体のほうが数が多いと考えられるという。
次に、生命を育む海は地球の例のような水(H2O)のほか、二酸化炭素やメタンなどさまざまな物質がありうるという話が展開される。
具体例が土星の衛星タイタン。
タイタンには、メタンの大気とメタンの海がある。
著者は、タイタンの生命体として、プランクトンのような微生物を食べる袋状の生物を想像している。
(2017年6月9日Facebook投稿を転載)