ドン・プーレン、ジョージ・アダムスカルテット「ソング・フロム・ジ・オールド・カントリー」
Don Pullen, George Adams Quartet 「Song From The Old Country」
1989年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルをテレビで見ていて、「こんな弾き方ありか」と驚いた。
ドン・プーレン、ジョージ・アダムスカルテットの曲「ソング・フロム・ジ・オールド・カントリー」で、速弾きのピアノ奏者ドン・プーレンが鍵盤上で拳を転がす荒技。
2分50秒くらいから6分くらいまで、プーレンのソロがある。
荒技は4分40秒辺りとか。♪キュルンキュルンキュルンキュルン…と言わせる。
ソロの間に何回もやる。しまいには、♪キュキュキュキュキュキュキュ…みたいにやる。5分20~40秒辺りがすごい。
その後、♪ジャジャジャジャジャジャ、ジャンジャンジャジャンジャン…と激しく弾くところも、かっこいい。
この曲は、1986年のアルバム「ブレイクスルー」に収録。
サックス奏者ジョージ・アダムスの哀愁漂う演奏で始まる。
なかなか良い曲。聴きどころがプーレンのソロだ。
(このアルバム収録の演奏では、2分~4分すぎがプーレンのソロ。1989年マウント・フジに比べれば、全然おとなしい)。
1987年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルで演奏して名を上げた。
拳キュルキュルの荒技は、ここでも見せる(プーレンのソロは、2分40秒くらい~7分30秒くらい)。
聴き比べると、1989年のマウント・フジのほうが圧倒的にいい。
ド派手に何回も何回も拳キュルキュルをやる。
相方のアダムスもこちらのほうが乗っていて、熱量が高い。
残念ながら、この名演はCD化されていない。
拳キュルキュルは、プーレンの得意技のようだ。
ほかの曲でもやっている。
私の好きなスペイン調で、いいなと思った曲は「インディオ・ヒターノ」。
最初からプーレンが前面に出た美しい曲で、拳キュルキュルは中盤以降に出る。
この曲は、プーレンの1990年のソロアルバム「ランダム・ソーツ」に収めてある。
1989年のソロアルバム「ニュー・ビギニングス」のタイトル曲は、ちょっと、前衛的で、面白い。
暴れん坊のドラム奏者トニー・ウィリアムスらと共演する。トニーは乱打せず、渋い演奏に徹して、プーレンを引き立てる。
同じアルバムの収録曲「リープ・ザ・ホワールウインド」もいい。曲名の「旋風」さながらに、最初からピアノを乱れ弾く。トニーのドラムはスリリング。
プーレンは、もともと、フリージャズの巨人オーネット・コールマン(サックス奏者)に憧れて、ジャズ演奏家の道を歩んだらしい。
プーレンが1995年に53歳で亡くなり、オーネットも世を去って、もはや、かなわないが、2人の共演を聴いてみたかった。