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チャック・マンジョーネ「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」 フリューゲルホルンに癒やされる ジャズ期のブレイキー、キースとの共演も聴いてほしい (おすすめ名曲名盤)

チャック・マンジョーネ「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」

Chuck Mangione 「Chase The Clouds Away」

 

フリューゲルホルン奏者チャック・マンジョーネは、ジャズからフュージョンに転向して「フィール・ソー・グッド」「サンチェスの子供たち」といった親しみやすいヒット曲を連発し、時代の寵児となった。

 

フリューゲルホルンはトランペットに似た楽器。温かく優しい音色がよく味わえる1975年のアルバム「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」のタイトル曲が一番好きだ。

 


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しみじみ系の曲で、フリューゲルホルンの音色に癒やされる。オーケストラの演奏が加わって空のような広がりを感じさせ、フルートやラテンパーカッションもよいアクセント。

 

子どもの頃、車で遠出をする時に父がよくかけていた曲のひとつで、当時の車窓の景色がよみがえって懐かしい。

 

1989年のライブ盤「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ゲート」では、フリューゲルホルンの代わりに、ロブ・マテスが情感たっぷりに歌う。ここでは、マンジョーネはおそらくキーボードを弾いている。このライブ演奏も好きだ。

 


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もともと、ディジー・ガレスピーに憧れてジャズトランペット奏者となり、ドラムの御大アート・ブレイキーのバンドに参加した。同じく駆け出しだったピアノ奏者キース・ジャレットもその頃に在籍し、共演しているのが面白い。

 

ブレイキーの1966年のアルバム「バターコーン・レディ」で3人の共演が聴ける。これは、隠れた名盤だ。

 

しっとり系の曲「マイ・ロマンス」で、マンジョーネは、ミュート付きトランペットで帝王マイルス・デイビスみたいな渋い音を奏でる。キースのソロも美しい。ブレイキーは控えめにリズムを刻み、引き立てる。

 


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アップテンポな曲「ビトゥイーン・レース」では、マンジョーネらの速くスリリングな演奏に、ブレイキーが熱い連打で応じる。

 


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フリューゲルホルンに持ち替えてフュージョンに転向して以降の音楽とは、全く趣が違う。これはこれで、いいと思う。

 

若手を育てようというブレイキーの心意気を感じるだけに、もし、ジャズの世界にとどまっていたら、どうなっただろうと想像が膨らむ。