スパイロジャイラ「モーニング・ダンス」
Spyro Gyra 「Morning Dance」
1970年代後半から80年代にかけて、フュージョンが流行した。
代表的なバンド、スパイロジャイラは、ボブ・ジェームス(キーボード奏者)やチャック・マンジョーネ(フリューゲルホルン奏者)らとともに、日本でも人気が高かった。
数年前、スティールドラムの演奏会を取材して、スパイロジャイラのヒット曲「モーニング・ダンス」が懐かしくなり、Amazonで収録アルバムを買った。
1979年の同名アルバムに収録された「モーニング・ダンス」は、カリブ海の島国トリニダード・トバゴ発祥の打楽器スティールドラムに尽きる。
イントロで、♪タランタンタンタン…と軽やかな音色を奏でて、南国ムードを振りまく。
♪シャカチャカ、シャカチャカ…とリズムを刻むパーカッションも雰囲気を高める。
そして、おもむろに、♪パーラッパ、パッパッパーラパ…と、サックス奏者ジェイ・ベッケンスタインの爽やかな演奏が飛び込んでくる。ここがいい。
スティールドラムなどが醸し出すラテン風味と、サックスが発するジャズ風味のバランスが程よく、心地よい。マリンバの軽やかな音色もいい。
例えば、ラテンパーカッションが控えめになった、1998年のライブ盤「ロード・スコラーズ」収録の「モーニング・ダンス」を聴くと、私は物足りなく感じてしまう。
ベッケンスタインの爽やかなサックスは変わらないし、キーボードやギターの美しい音色が前面に出ているので、ジャズ色が強いのが好みの方にはおすすめかもしれない。
もともと、スパイロジャイラは、夏向きの爽やかなイージーリスニング曲が多い。
「アルカトラズ」「孤独な薔薇」といった曲が天気予報のBGMに使われた、ニューエイジバンド、クスコと同様だ。
特にスパイロジャイラを知らなくても、曲を聴いたことがある人は少なくないのではないか。
(クスコの「アルカトラズ」や「孤独な薔薇」は機会を改めて紹介したい)。
例えば、アルバム「モーニング・ダンス」の収録曲「ソング・フォー・ロレーヌ」は、ラジオの交通情報か何かのBGMに使われていたと思う。イントロが印象的だ。
収録曲「スターバースト」も、そうだと思う。何だか聴き覚えがある。この曲では、サックス奏者マイケル・ブレッカーがソロを取る。
収録曲「リトル・リンダ」は、ヴィブラフォンがいい。
スパイロジャイラの大きな魅力のひとつであるベッケンスタインのサックスは、プログレッシブメタルバンド、ドリーム・シアターの1992年のアルバム「イメージズ・アンド・ワーズ」でも聴ける。
収録曲「アナザー・デイ」の終盤で、情感あふれるソロ演奏を見せている。
ベッケンスタインの客演で、私が大好きなのは、ボブ・ジェームスの曲「ユニコーン」での演奏だ。
BJの1981年のアルバム「サイン・オブ・ザ・タイムス」の収録曲。
BJのキーボードやシンセサイザーが主役の曲で、かなりメカニカルな雰囲気なのだけども、ベッケンスタインのサックスが温かみや柔らかさを加え、この曲の完成度を高めている。
スパイロジャイラの「モーニング・ダンス」とは、ひと味違ったベッケンスタインの魅力が楽しめる曲だと思う。


