カマロン・デ・ラ・イスラ「カジェ・レアル」
Camaron De La Isla 「Calle Real」
フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラの1983年のアルバム「カジェ・レアル」は、盟友のギター奏者パコ・デ・ルシアと共演した作品。
カマロンのバンドのギター奏者トマティート、パコの六重奏団のベース奏者カルロス・ベナベンテ、パーカッション奏者ルベン・ダンタスも参加している。
だけども、このアルバムで私が一番興味深いのは、カマロンの歌い方。
このアルバムでは、「アイヤイヤイー…」とか「レレレレー…」とか、得意の変な叫び声を控えて、「ティキティキトゥクトゥク…」みたいなスキャットを試みている。
私は、パコと初めてコラボした1969年のアルバム「アル・ベルテ・ラス・フローレス・ジョラン」のタイトル曲とか、パコを迎えた1984年のアルバム「ヴィヴィレ」のタイトル曲とかの変な叫び声が大好き。
カマロンの持ち味が最も発揮されていると思う。
でも、カマロンのスキャットも、なかなか面白い。
少しポップな雰囲気になり、より多くの人が親しみやすい作品になっていると思う。
ちなみに、1986年のアルバム「テ・ロ・ディセ・カマロン」のタイトル曲は、変な叫び声を入れつつ、ポップな曲に仕上げている。
カマロンの模索が垣間見えて、本作「カジェ・レアル」は興味深いアルバムだ。
収録曲をいくつか紹介する。
「ロマンス・デ・ラ・ルナ」
アルバムのオープニングを飾るこの曲では、コーラス隊のスキャットを入れている。
イントロは、♪ジャジャッ、ジャージャージャジャッ…というギターに、♪ブォオォーン…とベースが良い感じに絡む。
コーラス隊のスキャットはその後の18~32秒あたり。
「ラーイララー、ララララー…」という感じだ。
そして、カマロンの歌が始まる。
2分34秒あたりから、イントロと同じギターのフレーズが入り、3分17秒あたりから、「ラーイララー、ララララー…」とコーラス隊のスキャット。
フェードアウトして終わる。
「ラーイララー、ララララー」を聴いて、アリスの名曲「チャンピオン」の最後の「ライラライラライラライ…」を思い出した。
ネットで調べてみたら、「チャンピオン」の「ライラライラライラライ…」は、サイモン&ガーファンクルの曲「ボクサー」へのオマージュと考えられているようだ。
(「ボクサー」も最後に「ライラライラライラライ…」がある)。
カマロンの曲の「ラーイララー、ララララー…」は、サイモン&ガーファンクルともアリスとも関係ないと思うが、こういうスキャットを入れてくるところが面白い。
「ブレリアス・デ・ラ・ペルラ」
カマロン自らスキャットを試みる。
ギターのイントロに続いて、32秒あたりで、カマロンは「アーイ」と短くて音量控えめの変な声をつい、発する(叫び声というほどではない)。
パコは、フラメンコのブレリア形式の曲の時に多用する、♪ジャガンジャジャン、ジャンジャンジャン…という演奏を繰り返す。
このギターのメロディーに加えて、手拍子(パルマ)が割とずっと続き、「オレ!」といった掛け声(ハレオ)も入るので、パコの曲「セパ・アンダルーサ」を思わせる味わいがある。
2分34秒~3分あたりのパコとトマティートの掛け合いも聴きどころ。
肝心のカマロンのスキャットは、まず、3分12秒あたりから「ティキティキトゥクトゥク…」。
歌のリズムが変わって3分54秒あたりからは「マチャカマーチャーマチャカー…」。
「ティキティキ」とか「マチャカマー」って何?
よく考えるなというか、スキャットは歌手のセンスが問われるんだなと思う。
ま、もともと、変な叫び声を発するカマロンだから。
「カミナンド」
この曲は、イントロがパコの曲そっくり。
その後は、なかなか、ポップだ。
♪チャーンチャン、チャーチャンチャン…というギターにパーカッションが絡むイントロがパコの曲「チャネラ」にそっくり。
おおっと思う。
26秒あたりからカマロンの歌。
「カーミナンド(歩いて)、カーミナンド、カーミーナンドー…」と繰り返す歌詞が、何だか、癖になる。
「ソイ・エスクラボ・デ・トゥス・ベソス」
シャウト気味の歌で始まる(意味のある歌詞を歌っている)。
56秒あたりで、こらえきれなくなったか、「アーイーヤー、アーイーヤー…」と、変な叫び声を発する。
パコは、ブレリア形式の♪ジャガンジャジャン、ジャンジャンジャン…。
タイトル曲「カジェ・レアル」は、優しくて穏やか。
ファンの人気が高い曲みたいだけど、私はあんまり好みじゃない。
1分20秒~1分48秒あたりのパコの速弾きは、かっこいい。
