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フラメンコ史上最高のギター奏者パコ・デ・ルシア(1947~2014年)を知るうえでは、三つの視点が欠かせない。
(1)「新しいフラメンコ」の到達点である六重奏団のフラメンコ・ジャズ、フラメンコ・フュージョンと言える音楽。ジャズピアノ奏者チック・コリアとの共演
(2)ジャズ畑のギター奏者アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンとの共演
(3)お互いに刺激し合い、フラメンコに革新をもたらした盟友のフラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラの存在
以下、もう少し説明する。
パコ・デ・ルシアは「右手に伝統、左手に革新」がモットーだった。
伝統的なフラメンコで第一人者となりながら、パーカッションの導入や、さらにはバンド編成での演奏、ジャズ演奏家との共演といった新風を吹き込んだ。
だから、パコの演奏には、伝統的なフラメンコに近いものと、そうでないものがある。
私は、どちらも好きだけども・・・パコが目指した「新しいフラメンコ」の到達点と言える六重奏団の演奏や、ジャズ演奏家との共演からのほうが、入りやすいと思う。
パコの六重奏団がジャズピアノ奏者チック・コリアと共演した1981年のライブ・アンダー・ザ・スカイの模様を収めたライブ盤「ライブ・イン・トーキョー1981」が最高傑作。
パコとチックの演奏を中心とする曲「イエロー・ニンバス」、六重奏団の持ち味が生きる曲「火祭りの踊り」「二筋の川」「チャネラ」あたりがおすすめだ。
速弾きで知られるジャズギター奏者アル・ディ・メオラとの速弾きバトル「地中海の舞踏/広い河」も必聴。
同じく速弾きのジャズギター奏者ジョン・マクラフリンとの3人のライブ盤「フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ」に収めてある。
六重奏団のライブ盤「ワン・サマー・ナイト」、マクラフリンと2人のライブ盤「パコ&ジョン ライブ・アット・モントルー1987」とも聴き比べると、いい。
次には、パコの革新の歩みをたどってみたい。
キューバの太鼓ボンゴを取り入れたアルバム「二筋の川」もいいけども、私が好きなのはアルバム「アルモライマ」。
このアルバムのタイトル曲「アルモライマ」で、パコは、ギターの源流となったアラブの弦楽器ウードを弾いている。ギターの音色と聴き比べてみてほしい。
(アルバム「二筋の川」の収録曲では、タイトル曲もいいけど、私が特に好きなのは「セパ・アンダルーサ」。ずっと、手拍子がリズムを刻んでいて、フラメンコの特徴がよくわかる。アルバム「アルモライマ」の記事で、この曲にも触れてある)。
パコは、アルバム「シルヤブ」では、スペインにアラブ音楽を伝えたとされる弦楽器奏者シルヤブを追慕し、フラメンコのルーツを尋ねている。
ほかに、スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャのバレエ音楽やオペラの楽曲をカバーしたアルバム「炎」もいい。
盟友のフラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラとの共演も外せない。
若い頃に出会って意気投合した2人は、「アル・ベルテ・ラス・フローレス・ジョラン」等、いくつかのアルバムを共同制作した。
このアルバムでのパコの演奏は、伝統的なフラメンコ。
カマロンの気合が十分な歌が味わえる点でも、おすすめのアルバムだ。
別々の道を歩むようになってからも、2人はたびたび、共演している。
パコがカマロンとの共演からアイデアを膨らませていたことがうかがえるのは、カマロンのアルバム「ヴィヴィレ」のタイトル曲。
パコが参加しており、パコの曲「アンダルシアのジプシー」のライブ演奏版と、よく似ているのが興味深い。これはぜひ、聴いてほしい。
初期の作品では、フラメンコギター奏者リカルド・モドレーゴと共同制作したアルバム「2本のギターによる12のヒット曲」がいい。
手拍子、足拍子、カスタネットが入り、ほかの楽器はないので、伝統的なフラメンコの演奏がよく味わえる。
「コーヒールンバ」という名前で、一般になじみ深い曲「モリエンド・カフェ」もある。
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