ロリーナ・マッケニット「ザ・ブック・オブ・シークレッツ」
Loreena McKennitt 「The Book Of Secrets」
歌手ロリーナ・マッケニットは、ケルト音楽を基盤に、さまざまな民族音楽や古楽を取り込んで、美しい曲を作る。
同じ趣向のほかのミュージシャンも頭に浮かんできて、イメージが膨らむ。
名曲「ママーズ・ダンス」を聴いた時、なぜか、懐かしさを覚えた。
ヒット曲なので、過去に、知らず知らずのうちに耳にしていたのかもしれない。
そうでないにしても、郷愁をそそる力が、この曲にはある。
エキゾチックな弦楽器の音色とインドの太鼓タブラのリズム。
そして、リズミカルなロリーナの歌。
気持ちよく、ゆらゆらと波に揺られるような心地になる曲だ。
♪チャラーラ、ラーララ…と、メインのメロディーを奏でるのが中世ヨーロッパの弦楽器ハーディ・ガーディ。
♪ブォンポポ、ブォンポポ…と途中に入るのが中東の弦楽器ウードのようだ。
「ママーズ・ダンス」は、1997年のアルバム「ザ・ブック・オブ・シークレッツ」に収録。
このアルバムは、ほかにもエキゾチックな曲がそろう。
収録曲「プロローグ」は、「ランラー、ラーラララー…」といった歌声で織りなす美曲。
私は10年くらい前に、伝統音楽を現代風にアレンジして、女性歌手の美声で聴かせるミュージシャンに興味を持ち、QNTAL、ステラマラ、ニヤーズを聴くうちに、ロリーナのアルバムを手にしたので、それらのイメージも重なる。
例えば、この曲「プロローグ」は、ステラマラの曲「Szerelem」を思わせる趣だ。
ステラマラの歌手ソーニャ・ドラクリッチが「サラーラン…」と歌う。
ちなみに、ステラマラの曲では「Baraka」が一番好き。
トルコのスーフィー音楽を取り込んだ曲だ。
収録曲「マルコ・ポーロ」は、軽快な曲。
タブラが刻むリズムに、弦楽器が絡む。
中盤には「ランララーララ…」とロリーナの歌が入る。
これは、ニヤーズの曲「Allahi Allah」を思わせる曲だ。
ニヤーズは、イラン生まれ、インド育ちの歌手アザム・アリの妖艶な歌声に、イランやインドの音楽が絡む。
一番好きな曲は「Golzar」。ウードの音色がよく味わえる。
あと、「マルコ・ポーロ」を聴いて思い浮かんだのは、ヒロイック・ファンタジー映画「コナン・ザ・グレート」で、悪の大王タルサの一派が享楽に浸る場面(この後、アーノルド・シュワルツェネッガー演じる主人公コナンらが襲撃する)。
この場面の音楽は、雰囲気が似ているかも。
ついでに、もうひとつ。同じタイトルというだけだが、、、
フュージョンのキーボード奏者ボブ・ジェームスの「マルコ・ポーロ」も紹介する。
ロリーナの曲とは全く似ておらず、完全にフュージョン。
爽やかなイントロが印象的だ。
これは、本当に懐かしい曲。
