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「風の谷のナウシカ」(漫画)宮崎駿 クシャナ最高 劇場版アニメよりさらに魅力アップ 死んだ将兵に髪を切ってたむけるシーンがしびれる

「風の谷のナウシカ」

「風の谷のナウシカ」(漫画)宮崎駿

中学生くらいの頃だったろうか。

アニメ映画の名作「風の谷のナウシカ」をテレビ放映で見て感動。

原作とも言える漫画があると知り、即刻買った。

 

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平和を願いつつも戦争に巻き込まれる小国の姫ナウシカ。

何やら心の傷を背負って戦場に立つ大国の姫クシャナ。

この2人の姫の生きざまを軸に、物語は展開される。

世界規模の戦争で文明が滅び、生態系も変わって、毒を放つ腐海や巨大な虫が人間を脅かす、未来の世界が舞台。

最初に劇場版アニメを見て、私が惹かれたのは、クシャナだった。

 

「風の谷のナウシカ」より。クシャナ

劇場版アニメでは、過去に何かあって世を憎むようになったという程度の描かれ方で、人物像は深掘りされていない。

それでも、何か秘めている感を濃厚に漂わせた。

私好みの「クールで強い美女」という点も重要なポイントだ。

 

劇場版アニメで一番好きなシーンは、クシャナの「焼き払え」「なぎ払え」。

王蟲の大群が迫るのに対し、まだ復活作業中で完全体ではない巨神兵に攻撃を命じるシーンだ。

おそらく、人気が高いシーンだと思う。

 


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心の傷をチラッとのぞかせるシーンも印象深い。

片腕がないことを明かし、「わが夫となる者は、さらにおぞましきものを見るだろう」と、不敵な笑みを浮かべる。

 

原作漫画の内容を改変、省略している劇場版アニメの場合、「過去に虫にやられて虫が嫌いになった」という設定のもよう。

 

原作漫画では、王家の正統な血を引くクシャナは、継父、継兄とみられる王や王子に命を狙われている。

実母は、クシャナを狙った王の策略を察知して代わりに毒酒を飲み、そのために心が破壊されて廃人になった。

クシャナの心の傷はここにあり、王らへの復讐の念を燃やしている。

 

「風の谷のナウシカ」より。クシャナの暗い過去

「風の谷のナウシカ」より。復讐に燃えるクシャナ

劇場版アニメでは、そのような込み入った事情はバッサリと省略している。

継父らに母を廃人にされ、自分の命まで狙われているという過酷な事情と比べれば、虫に大けがさせられて虫が嫌いになったというのは、そこまで深刻な事情ではない。

それでも、重い過去を背負っているのだなと感じさせる描き方は見事だと思う。

 

原作漫画には、劇場版アニメでは描ききれなかったクシャナの魅力があふれている。

先に劇場版アニメを見て、クシャナが好きになった方は、もっと、クシャナに惹かれると思う。

 

原作漫画では、クシャナは人望が厚くて将兵に信奉されている。

 

「風の谷のナウシカ」より。人望が厚いクシャナ

王家の正統な血を引きながら、現在の悪辣な王に命を狙われていることへの同情も集めている。

クーデターをそそのかす発言が配下の将から出るほどだ。

「あなたがご決意くだされば、私どもは死をもいといませぬ。軍の主力もそのほとんどが」と。

 

「風の谷のナウシカ」より。クシャナにクーデターをそそのかす部下

クシャナが配下の将兵の忠誠にきっちりと応える姿も大好きだ。

冷酷そうに見せておきながら、配下の将兵が死ぬと、深く悲しむ。

 

原作漫画で一番好きなシーンは、クシャナが、王らの策略で無駄死にさせられた配下の将兵を悼んで、髪を切って、たむけるところ。

これは、グッとくる。カッコ良すぎる。

「そなたたちの無念忘れぬぞ。受け取れ。たむけだ」と。

 

「風の谷のナウシカ」より。死んだ部下のため髪を切って捧げるクシャナ

その後、また、同様な状況に直面した時は、さすがにこれ以上、髪は切らないけど、追悼の言葉を放つ。

「そなたたちの最期見届けた。私から第三軍を奪い、精兵を虚しく犬死にさせた者どもへのわが復讐をヴァルハラにて見守るがよい」と。

ヴァルハラとは、北欧神話で、戦死者の霊が集まるところ。

 

「風の谷のナウシカ」より。追悼の言葉を放つクシャナ

原作漫画では、ナウシカと接するうちに憎しみを捨て、優しい心を取り戻す。

 

「風の谷のナウシカ」より。クシャナ(BEFORE)

「風の谷のナウシカ」より。クシャナ(AFTER)

最後には、王とも和解する。

つまり、復讐は果たしていない。

髪をたむけられたり、ヴァルハラで見守ったりする将兵、そして、クシャナの母がどう感じたかは、わからないけども、、、

これはこれで、良い締めくくりだ。

復讐物が大好きな私でも、そう思う。

読後感は爽やかだった。

 

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