(詳しくはリンク先の各記事へ。随時、追加・更新)
ジェフ・ベック(Jeff Beck)はギターで歌う。音色に味があり、情感たっぷりだ。
ブルース、ソウル/ファンク、ジャズ/フュージョン、テクノ…とジャンルを問わず、歌心と音色で聴かせ、ベックの音楽にしてしまう。
「恋はみずいろ(Love Is Blue)」のようなムード音楽、「グリーン・スリーブス(Greensleeves)」のような民謡にまで手をつけているのは、すごいと思う。
私は、フュージョン期のアルバム「ブロウ・バイ・ブロウ(Blow by Blow)」(1975年)「ワイアード(Wired)」(1976年)、ライブ盤「ライブ・ワイアー(Jeff Beck with The Jan Hammer Group Live)」(1977年)を聴いて、ベックが好きになった。
一番好きな曲は「レッド・ブーツ(Led Boots)」(アルバム「ワイアード」に収録)。
ベックのギターが、マックス・ミドルトン(Max Middleton)のファンキーなキーボード、ヤン・ハマー(Jan Hammer)の妖しいシンセサイザーと掛け合う。
この曲はミドルトンの作品。ミドルトンの所属バンド、ハミングバード(Hummingbird)でも演奏しているので、聴き比べるといい。ハミングバード版は完全にファンクだ。
同じくアルバム「ワイアード」収録の「グッバイ・ポーク・パイ・ハット(Goodbye Pork Pie Hat)」は、ジャズベース奏者チャールズ・ミンガス作のバラード。歌手ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)もカバーしているけども、ベックのカバーのほうが「歌」を感じるのが面白い。
次に好きな曲は、「ライブ・ワイアー」収録の「スキャッターブレイン(Scatterbrain)」。アルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」収録のものと比べ、粗削りだけども、緊迫感が高い。
バイオリンとの高速ユニゾンに引き込まれる。
ギターとバイオリンとの高速演奏と言うと、ギター奏者ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)のバンド、マハヴィシュヌ・オーケストラ(The Mahavishnu Orchestra)が思い浮かぶけども・・・超絶技巧に走りすぎるマハヴィシュヌ・オーケストラより、ベックのほうが聴きやすいのは歌心ゆえか。
初期の作品を聴いてみようと、手に取ったのが「The Late 60's With Rod Stewart」(1988年)。アルバム「トゥルース(Truth)」(1968年)「ベック・オラ(Beck-Ola)」(1969年)、シングルから選んだ曲を収めたコンピレーションCDで、邦題は「ベック・オラ+トゥルース+Singles!」だった。
このCDで「恋はみずいろ」「グリーン・スリーブス」を聴き、ベックの懐の深さを感じたものだ。
ベックのアルバムは、躍動的な曲が並ぶ中に、しみじみした曲が織り込んであり、緩急を付けた構成が面白い。
たとえば、1999年のアルバム「フー・エルス!(Who Else!)」で言うと・・・
収録曲「ホワット・ママ・セッド(What Mama Said)」が躍動ベック。
ギターの弦を指でたたいて鳴らす「タッピング奏法」の名手ジェニファー・バトゥン(Jennifer Batten)が高速で奏でるキャッチーなメロディーで、いきなり引き込まれる。続いて、♪ジャッジャッ、ジャージャッ…とベック登場。この満を持して感がいい。
収録曲「デクラン(Declan)」は、しみじみベックの極致。アイルランド民謡だという。尺八みたいな笛の音に、哀愁たっぷりなベックのギターが絡む。
ベックのギターは、もはや、「あはれ」の領域に達したと言っていい。
アルバム「ワイアード」は当時、ベックが関心を寄せた、歌手スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)のファンク感、マクラフリンのジャズ・フュージョン色の影響がうかがえるのだけども・・・
ベックは、この2人のアルバムにも参加している。
スティービーのアルバム「トーキング・ブック(Talking Book)」(1972年)は、いわく付きのヒット曲「迷信(Superstition)」が目玉ではあるけども・・・
ベック参加の収録曲「アナザー・ピュア・ラブ(Lookin' for Another Pure Love)」も聴き逃せない。ついでに言うと、サックス奏者デビッド・サンボーン(David Sanborn)参加の曲「チューズデイ・ハートブレイク(Tuesday Heartbreak)」も。
「アナザー・ピュア・ラブ」で、ベックは情感たっぷりのソロを見せる。
スティービーに提供を受けた人気曲「哀しみの恋人達(Cause We've Ended as Lovers)」(アルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」に収録)みたいな趣の曲なのが興味深い。
マクラフリンのアルバム「ザ・プロミス(The Promise)」(1995年)では、往年のギター奏者ジャンゴ・ラインハルトにピアノ奏者ジョン・ルイスが捧げたバラード「ジャンゴ(Django)」をマクラフリンと共演。しみじみと聴かせる。
マクラフリンがメチャ弾きせず、きっちりとベックを立てているのも面白い。
最後に、変わり種の客演をひとつ。
ZZトップ(ZZ Top)のアルバム「XXX(トリプルエックス)」(1999年)に収録されたライブ演奏「ヘイ・ミスター・ミリオネア(Hey Mr. Millionaire)」が、それ。
何と、ベックは、ギターではなく、ボーカルで参加。「ヘイ! ミスター・ミリオネア、ヘイ! ミスター・ミリオネア」という連呼のところで、ZZトップのギター奏者ビリー・ギボンズ(Billy Gibbons)とハモっているという。
ちなみに、このアルバム「XXX」は、ZZトップ史上最悪の失敗作とも言われるけど、私は、割と好み。
歪ませたギターにエレクトロビートを組み合わせた怪作で、ベックのアルバム「フー・エルス!」に似た雰囲気がある。
ベックとギボンズが示し合わせたのかなと想像させられ、興味深い。
<私的ベスト3枚>
(1)ジェフ・ベック「ワイアード」
(2)ジェフ・ベック「ライブ・ワイアー」
(3)ジェフ・ベック「フー・エルス!」
<おまけリンク>
ジョニ・ミッチェル版「グッバイ・ポーク・パイ・ハット」は以下の記事で言及
ジェニファー・バトゥン「アバヴ・ビロウ・アンド・ビヨンド(Above Blow and Beyond)」
ギターインストと言えば、イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)も外せない。私が一番好きな曲は「ブルー(Blue)」
<ジェフ・ベックに興味がある方におすすめのアーティスト>
