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<記者の仕事あれこれ>書の面白さ 「線を追ってリズムをつかみ、絵画的な見方で楽しむといい」と教わった ヒエログリフのように顔や目があってもいいと想像

「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」より。「天馬」

駆け出し記者の頃、展示会の取材で難しいと思っていたのが、書の展示会。

絵画や彫刻と比べて、失礼ながら、どこがいいのか、わからなかった。

 

私は、大学時代に東洋史の講義を受けて「金文」に興味を持った。

金文は、漢字の発展途上の字で、甲骨文字より発展した段階。

古代中国の青銅器に鋳込んである字だ。

漢字には今も興味があるのに、書の面白さに気づかなかったのは、なぜだろう。

 

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ある時、書家の方に「無理して読もうと思わず、線を追ってリズムをつかみ、絵画的な見方で、白と黒の世界を楽しむといい」と教わって、なるほどと思った。

 

そう思って、よく見ると、書の展示会の来場者には、作品の前で、なぞるように手を動かして鑑賞している人もいる。

筆のリズムや勢いを味わっているのだなと思った。

 

そして、難解だと思っていた前衛書が、逆にわかりやすく思えてきた。

実際、絵みたいな作品もある。

円とか、横線一本だけを書いた作品も見たことがある。

字にとらわれずに、筆跡を楽しませる書法なのだろう。

「シャバダバ、シャバダバ」とか、意味のない言葉を歌い、声を楽しませる歌唱法・スキャットが頭に浮かんで、腑に落ちた。

ちなみに、「シャバダバ、シャバダバ」と言えば、往年のお色気番組「11PM」。中学生の頃、ドキドキしながら見たものだ。

 


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篆刻では、篆書体という古い漢字の造形とともに、絵と組み合わせた作品にそそられた。

漢字は象形文字として生まれたので、絵と相性が良いはず。

古代エジプトの象形文字ヒエログリフのように、顔や目を付けても面白そうだ。

 

 

酉年の2017年を控えた2016年の年末だったか。

篆刻体験イベントに行った時に「酉」という漢字に鳥の顔の絵を加えた印鑑を作った。

先日、自宅の部屋の片付けをしていたら、この印鑑が出てきた。

それで、書の展示会の取材にまつわる思い出がよみがえったというわけだ。

 

手作りの酉年印鑑。雑な仕上げに不器用さが表れている

思いついたら、そのことで頭がいっぱいになるのが、私の性分。

面白い書が見たいなと思って、Amazonやヤフオクで作品集を探していたら、ヤフオクで「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」を見つけ、落札した。

 

「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」

私の故郷・鳥取市にお住まいの書家で、お寺の住職。

かつて地元の高校で書道を指導しておられ、私も習った。

「あ、柴山先生」と懐かしくなった。

 

本書「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」は2001年に発刊。

プロフィールに1941年生まれとあるから、今では、もう80歳を超えておられる。

お元気だろうか。

 

本書から、いくつか、面白い作品を紹介しておく。

 

「天馬」は、「天」が人みたいな形で、「馬」は翼があるように見えるので、人が天馬に乗ろうとしているところか。

(この記事の冒頭に掲げた画像)

 

同じページに載っている2作品の「守」は守っている感じ、「寳(宝)」は大切にしまってある感じが表れている。

この「守」を妻に見せたら「団」と言われた。たしかに・・・

 

「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」より。「守」(上)と「寶」(下)

「照」は・・・カタツムリ。字に見えない。

濃淡やにじみを楽しむ作品か。

濃淡の表現で、輝いている感じは出ていると思う。

 

「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」より。「照」

対の作品「龍虎」は、線が細く、赤や黄色で着色してあり、イラストみたいで面白い。

金文の「龍」「虎」をかなりアレンジしたものだろうか。

太字の作品が多い中、急に細字だと、可愛く感じてしまう。

 

「夢を尋ねて・・・書業四十年 柴山抱海」より。「龍虎」

 

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