子どもの頃、父が時々、喫茶店に連れて行ってくれた。
それほどコーヒー好きというわけでない母や弟はついてこず、父と私だけで行った。
父も、私も、喫茶店に置いてある漫画や雑誌を読みながら、ただ黙って、コーヒーを飲むだけだが、喫茶店に入ること自体が大人の気分を味わえて、楽しみだった。
喫茶店で飲むレギュラーコーヒーは、自宅で飲むインスタントコーヒーとはひと味違った。
店主がサイフォンを使ってコーヒーを入れるのを眺めるのも、面白かった。
ペーパードリップが普及して、自宅でもレギュラーコーヒーを入れて飲むようになるのは、もう少し後になってからだったと思う。
(ちなみに、私は団塊ジュニア世代)。
そんな子どもの頃にコーヒーのCMで聴いた曲で懐かしいのは、「ダバダー」というスキャットと「違いのわかる男」というフレーズのあれ。
ネスカフェ・ゴールドブレンドのCMに使われた曲「めざめ」。伊集加代が歌う。
CMは一部しか流れないが、ずっと「ダバダー」とか「ダバダバ」だけで歌う。
もうひとつ懐かしいのが、AGF・マリームのCMで使われたスザンヌ・ヴェガの曲「トムズ・ダイナー」。
コーヒーそのものではなく、クリーミングパウダーだが、コーヒーのCMと言うと、すぐに思い浮かぶのが、さっきのダバダーとこれ。
「I am sitting in the morning…」という、リズミカルな歌が頭に残る。なかなか、かっこいい曲だ。
今思えば、たかだか、インスタントコーヒーとクミーミングパウダーのCM曲なのだが、2曲とも、すごくしゃれた感じの曲なのは、やはり、時代背景だろうか。
大人になった今。
会社のオフィスで仕事中や単身赴任中の自宅で過ごす時は、手軽なインスタントコーヒーを飲む。
休日に妻と一緒に過ごす時は喫茶店に行くか、コンビニでコーヒーを買う(妻は、コーヒーの味にうるさくて、インスタントコーヒーは飲まない)。
コンビニでコーヒーを買うとは、時代の流れを感じる。
そして、車を運転中に飲むのは缶コーヒーか、ボトルコーヒーだ。
あまのじゃくの私は、大手のUCCやジョージア(コカ・コーラ)の商品は絶対に買わない。だいたい、サントリーのボス。なければ、ダイドーやアサヒでもいい。
でも、缶コーヒーのCM曲で頭に浮かぶものと言えば、UCCとか、ジョージアだ。
まずは、UCC・ブラック無糖のCMに使われたディープ・パープルの「ブラック・ナイト」。
このCMの印象が強すぎて、この曲を聴くと、缶コーヒーが思い浮かぶほどだ。
そして、UCCコーヒーのCMに使われたジプシーキングスの「マイ・ウェイ」。
フランク・シナトラの曲のカバーで、♪ジャカジャカジャカジャカ…といった、ジプシーキングス感はさほどでもないが、まあ、いい曲ではある。
ちなみに、ジプシーキングスは、イーグルスの曲「ホテル・カリフォルニア」もカバーしている。これは、ジプシーキングス感もあるし、いい曲。
次は、ジョージアのCMに使われたデビッド・サンボーン(サックス奏者)の「我が心のジョージア」。
米国のポピュラー音楽の定番曲のカバー。
レイ・チャールズが歌ったのがよく知られるところだろう。
そのレイを敬愛するサンボーンの演奏も、情感たっぷりだ。
最後に紹介したい曲は「コーヒールンバ」。これは、まさにコーヒーの歌だ。
原曲は、ベネズエラの作曲家ホセ・マンソ・ペローニの「モリエンド・カフェ」。
ダイドー・ブレンドコーヒーのCMに使われているので、いちおう、荻野目洋子が歌うCMバージョンも挙げておく。これは、とりたてて、どうということはない。
ぜひ聴いてほしいのが、パコ・デ・ルシア(フラメンコギター奏者)によるカバー。
カスタネットや手拍子も入り、フラメンコ感満点だ。
インカケーナスというフォルクローレグループの演奏もおすすめだ。いかにも、フォルクローレという趣で、民族楽器のケーナ、サンポーニャ、チャランゴの音色がいい。
今週のお題「コーヒー」